ビーチボーイズ ＜Girl's side ＞ リア

夜の海で絵を描いている時にニコラスに出会い、あっという間に付き合うことになった。

ニコラスはとても美しく、しかも人魚だ。

私は画家として生計を立てている。

美しいものを描きたくてスラニに移住してきた。

私にとってニコラスはこの上なく美しい生き物だ。

いつか彼をキャンバスに描いて最高傑作に仕上げたいと思っている。

が、未だに手をつけられずにいる。

彼はいつも率直に物を言う。

「リアの黒い髪と黒い瞳が好きだ。綺麗だ。」

いつもそう言ってくれる。

リアは自分の容姿があまり好きではなかった。

美しいニコラスの隣にいるのは自分でいいのかと疑問に思うこともあったが

彼がいつもそう言ってくれるのが嬉しかった。

ニコラスと過ごす時間はとても静かだ。

彼が海で泳いでいる間、私は絵を描いたり本を読んだり。

お互いにやるべき事が終わると

何をするでもなく相手のことを眺めて過ごす。

何をする時も彼は美しい。

小麦色の肌も黄金色の髪も。そして切長の目に青い瞳も。

人間としての姿も、人魚の姿も。

永遠に見ていられる。

私が絵を描いたりピアノを弾いている時、

彼もじっと私を見つめて過ごすのだ。

そんなふうに過ごす時間が気に入っていた。

そんなある日、彼が言った。

「人魚の女の子に出会ったんだ。リアにも紹介したい。」

彼は自分の周りの人達と私を会わせるのが好きだった。

彼の知り合いは全員知っている。

わざわざ「紹介したい」と言ってきたことにほんの少し違和感を感じた。

彼女の名はカラマイヌウ。

実際に彼女に会って衝撃を受けた。

美しかった。

人魚とはみなこんなに美しいのだろうか。

ニコラスと彼女が並んだ姿が自分の理想そのものだった。

２人の絵を描きたいと思った。

３人で過ごす時間が増えた。

彼が遊び人だと言うことはわかっていた。
わかってはいるけれど、モヤモヤする気持ちは拭えなかった。

ニコラスは確実にカラマイヌウに惹かれている。

私から身を引いた方が良いのだろうか。。。

そんな中、調べ物をしに図書館に行った時

男の子に声をかけられた。

とても人懐こい子で、すぐに仲良くなった。

男の子の名はブルーノ。

ブルーノと過ごす時間は

ニコラスと過ごす時間とは全く違う。

ブルーノはずっと私の側にいて離れない。

二人でいるとずっとおしゃべりが止まらない。

違うことをしていてもお互いにすぐに戻ってきてずっと話してしまう。

ブルーノと過ごす時間は楽しい。

私は彼にも惹かれている。

でももちろんまだ一線は超えていない。

中途半端な思いのままニコラスとカラマイヌウの３人であった。

珍しくセレナーデを歌ってくるニコラス。

いつもはこんなことしないのに。。

なんとも言えない気持ちで受け止める。

すると突然のプロポーズ。

こんな気持ちのままでは受け入れられない。

ショックを受けるニコラス。

どうすればよかったの？？

受け入れるべきだった？

傷心のニコラスはカラマイヌウにキス。

やっぱりモヤモヤする。

でもやっぱり好き。

どうしたらいいのだろう。